ビタミンDの働きと1日の摂取量

ビタミンDの働きと1日の摂取量


ビタミンDとは

ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、D4〜D7は食品にはほとんど含まれていません。また、ビタミンD3は、ヒトの皮膚に存在するプロビタミンD3が、紫外線に当たることによって生成した、プレビタミンD3からも生成されます。

ビタミンD2もしいたけに含まれるプロビタミンD2からも生成されます。


ビタミンDの吸収と働き

ヒトなどの哺乳動物は、ビタミンD2とビタミンD3はほぼ同等の生理的な効力をもっているようです。ビタミンDは肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDに変わり、主に体内の機能性たんぱく質の働きを活性化させ、さまざまな作用を及ぼします。ビタミンDの作用に、正常な骨格と歯の発育促進が挙げられます。また、小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きがあるようです。

 

ビタミンDの1日の摂取基準量

日本人の食事摂取基準(2020年版)では1日の摂取の目安量が、18歳以上の男女ともに8.5㎍(マイクログラム)、耐用上限量が100㎍と設定されています。

日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、全年齢区分を通じて、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心掛けるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要です。

 

◇目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。

◇耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

◇摂取基準量の単位㎍は100万分の1グラムを表します。


令和元年の国民健康・栄養調査によると、日本人のビタミンDの平均摂取量は6.9㎍のようです。食品群別の摂取量を見ると、魚介類からの摂取量が最も多く、次に卵類、きのこ類と肉類と乳類の順に摂取されているようです。

日本では、日照に恵まれている適度な日光のもとで通常の生活をしている場合、ビタミンDが不足することは少ないと考えられるそうです。しかし、高齢者では、皮膚におけるビタミンD産生能力が低下すること、屋外での活動減少により日光を受ける機会が少なくなる場合もあり、通常よりも多くのビタミンDを食事から摂取する必要があることがわかります。

日光に当たる機会が少ないと感じている人は、意識して食事からビタミンDを摂取することがとても大切になります。

 

ビタミンDが不足するとどうなるか

ビタミンDが不足すると、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、カルシウムが不足して低カルシウム血症となります。そのため、骨の軟化がおこり、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症になります。また、小児の場合は骨の成長障害が起こり、姿勢が悪くなったり、足の骨が曲がったり、くる病になったりします。骨量が低下している高齢者の場合は、骨粗鬆症になりやすくなり、骨折による寝たきりになるリスクが高くなるようです。

 

ビタミンDの過剰摂取の問題

ビタミンDも、脂溶性ビタミンのため過剰摂取による健康障害が知られています。ビタミンDをとりすぎると、高カルシウム血症が起こり、血管壁や腎臓、心筋、肺などに多量のカルシウムが沈着します。そのため腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮度の高まりなどの症状が現れるようです。

 

ビタミンDを多く含む食品

ビタミンDは、きのこ類、魚介類、卵類、乳類に多く含まれています。

一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、乾燥きくらげ、生卵黄、まいわしなどからビタミンDを摂取しやすいです。ビタミンD脂溶性なので、脂質を含む動物性食品から摂取したほうが吸収されやすいのですが、きのこ類でも炒め物や揚げ物にして油とともに摂取することで吸収率を上げることが見込めます。